
“Polarmanship” 探求心と諦観(後編)
純粋な好奇心のほかにも、名誉や功名心といったものは、研究者が仕事を進める原動力になっているのも事実である。しかし、ときどき、そういったある一線を越えた、別次元の人たちに出会うのも極地研究の面白いところだ。日常とは異なる極…
純粋な好奇心のほかにも、名誉や功名心といったものは、研究者が仕事を進める原動力になっているのも事実である。しかし、ときどき、そういったある一線を越えた、別次元の人たちに出会うのも極地研究の面白いところだ。日常とは異なる極…
話者:橋田元(第65次南極地域観測隊長、気水圏研究グループ教授) PDFはこちらからダウンロードいただけます。
氷河の末端から流れ出す、真っ赤な「血の滝」。この水は、単なる氷河の融け水ではなく、氷河の厚い氷の下にある湖の水だということが分かっています。この湖は、500万年以上前に氷河によって閉じ込められた海水が起源になっていて、無…
「南極へ行ったら撮ってみたい」と思う風景の一つに、オーロラが挙げられると思います。写真は、カメラのセンサーに適量の光を取り込むことで記録されます。光の量が少ないと真っ黒に、多すぎると真っ白になります。 オーロラや星空など…
初代の国立極地研究所があった板橋キャンパス(1973年創立)は、狭いながらもアットホームでまだ昭和の薫りが残る場所でもあった。その頃の職場には大学山岳部等出身のいわゆる山男がたくさんいた。2009年までの15年ほどを、若…
シリーズ最後にご紹介するのは、Yamato-86789隕石で、これは第27次南極地域観測隊により南極やまと山脈付近で発見された真っ黒な炭素質コンドライトです。これまでの2回とは異なり見た目は地味な隕石ですが、私の学生時代…
ここまで、極限環境下で液体の水を求める「いきもの」たちの姿を紹介してきました。今回はさらにとんでもない環境、南極の氷床の底をご紹介します。 日本の37倍もの面積を持つ南極大陸は、最大で4,000メートル、平均で2,000…
話者:伊村智(国立極地研究副所長) PDFはこちらからダウンロードいただけます。
前回は望遠レンズの圧縮効果を利用した撮影の紹介をしました。今回は広角レンズを使用した写真です。広角レンズは広範囲を写すことができ、遠近感は望遠レンズとは反対で強調されます。遠くのものは小さく写り、近くのものは大きく写るた…
若いときは、いつも自分が中心で、人生が、いろいろな人のお陰で成り立っていることなどには、まったく気づいていなかった。南極でもそうだった。南極には何度か来ていたが、越冬隊長をやるまでは、自分自身の狭い研究課題について考える…
前回は肉眼で見て美しい暗緑色の火星隕石をご紹介しましたが、今回は顕微鏡を覗いたときに“映える”普通コンドライト隕石のお話をしたいと思います。宇宙空間から飛来する隕石には様々な種類がありますが、その中でも普通コンドライトは…
低温のため液体の水がほとんど存在せず、極度の乾燥環境となっている南極の露岩域。短い夏の間に供給されるわずかな雪解け水も、沈まない太陽に照らされてあっという間に蒸発してしまいます。こんな環境に暮らす「いきもの」にとって大切…