連載

「連載」では、南極・北極の自然と科学の多面的な魅力を伝えていきます。極地に関わる人たちが綴る、特集記事に関連するコラムや、極地観測・研究の裏話などをお届けします。

花・光合成装置・トナカイ

2024年7月6日:花 ロングイヤービンから 100km ほど北に位置するニーオルスンだと、ちょうど花が咲き始める感じですが、ロングイヤービンでは、花のシーズンが終わりかけの場所がありました。 スバールバル⼤学の南側にあ…

石の現場検証

まずは現場検証である。地球の事件現場はもちろん世界中にあるのだが、広大な南極大陸は97パーセントが氷に覆われており、その下の岩盤にアクセスできないことは大きなデメリットだ。一方で、南極には植生がなく、岩石の露出が非常にい…

地球の事件現場

「私の専門は地質学で、南極大陸の岩石の研究をしています。」講演などで自己紹介をすると、怪訝な顔をされることがある。南極は氷に覆われていて岩盤などは露出していない、と思われているのだろう。その次に来る質問は、「え、じゃあ氷…

アイスコア

氷床の上に立つと、どこまでも果てしなく続く白銀の世界が広がっています。そして、その下には、何万年、何十万年分もの氷が、厚さ数キロメートルにわたって堆積しています。私は、この氷床を鉛直方向にドリルで掘削して採取される円柱状…

“Polarmanship” 探求心と諦観(後編)

純粋な好奇心のほかにも、名誉や功名心といったものは、研究者が仕事を進める原動力になっているのも事実である。しかし、ときどき、そういったある一線を越えた、別次元の人たちに出会うのも極地研究の面白いところだ。日常とは異なる極…

氷の底(後編)

氷河の末端から流れ出す、真っ赤な「血の滝」。この水は、単なる氷河の融け水ではなく、氷河の厚い氷の下にある湖の水だということが分かっています。この湖は、500万年以上前に氷河によって閉じ込められた海水が起源になっていて、無…

撮影の技術(オーロラ撮影編)

「南極へ行ったら撮ってみたい」と思う風景の一つに、オーロラが挙げられると思います。写真は、カメラのセンサーに適量の光を取り込むことで記録されます。光の量が少ないと真っ黒に、多すぎると真っ白になります。 オーロラや星空など…