エッセイ「測る」

南極という場所で、観測隊員として地球を測ってきた、三浦英樹・元国立極地研究所広報室長が、観測の記憶を綴る。

第3回 数字の裏に隠されているもの

若いときは、いつも自分が中心で、人生が、いろいろな人のお陰で成り立っていることなどには、まったく気づいていなかった。南極でもそうだった。南極には何度か来ていたが、越冬隊長をやるまでは、自分自身の狭い研究課題について考える…

第1回 はるかな土地 とおい時間

はじめて南極観測隊に参加して帰国した直後、大学院時代の指導教員から南極の感想を尋ねられた。「何をやるにも効率が悪いところでした」とお答えしたところ、先生は「それはきみにぴったりだね」とおっしゃった。日頃の自分の仕事の遅さ…