エッセイ「測る」

南極という場所で、観測隊員として地球を測ってきた、三浦英樹・元国立極地研究所広報室長が、観測の記憶を綴る。

“Polarmanship” 探求心と諦観(後編)

純粋な好奇心のほかにも、名誉や功名心といったものは、研究者が仕事を進める原動力になっているのも事実である。しかし、ときどき、そういったある一線を越えた、別次元の人たちに出会うのも極地研究の面白いところだ。日常とは異なる極…

数字の裏に隠されているもの

若いときは、いつも自分が中心で、人生が、いろいろな人のお陰で成り立っていることなどには、まったく気づいていなかった。南極でもそうだった。南極には何度か来ていたが、越冬隊長をやるまでは、自分自身の狭い研究課題について考える…

はるかな土地 とおい時間

はじめて南極観測隊に参加して帰国した直後、大学院時代の指導教員から南極の感想を尋ねられた。「何をやるにも効率が悪いところでした」とお答えしたところ、先生は「それはきみにぴったりだね」とおっしゃった。日頃の自分の仕事の遅さ…