南極の海に潜る

想像もしなかった光景を目にすること、その場に身を置いて感じることが潜水調査の醍醐味である。南極海氷下の潜水調査のパイオニア、渡邉研太郎名誉教授が記す、南極の海の潜り方。

第3回 真冬の海氷下の世界

第1回、第2回では第22次南極地域観測隊夏隊での潜水調査に触れたが、それまでの餌を入れたカゴや釣りでは採集できないものも含め、昭和基地周辺の海の生物の顔ぶれを調べることを目的としていた。その2年後の第24次隊では、筆者の…

第2回 海氷下に潜る

日本の南極地域観測隊で最初に潜水調査をしたのは、9次隊の夏隊生物部門の福井義夫隊員と越冬隊医学部門の大久保嘉明隊員だった(南極資料32, 1968)。南極観測船「ふじ」の支援の下、ラングホブデの水くぐり浦にあるペンギン営…

第1回 潜水への誘い(いざない)

南極・昭和基地の周りの海はほとんど一年中凍りつき、陸上にも花の咲く植物は無く、ごく限られた場所にコケや地衣類がわずかに見られるのみで白一面の世界が広がっている。海洋生物を研究するといっても厚さ1メートル以上もある海氷(海…