植物は、私にとっては調査対象ですが、トナカイにとってはご飯です。

北極研究者の写真日記。国立極地研究所 北極観測センターの内田雅己准教授が、北極はノルウェー領スバールバル諸島の春から初夏にかけての風景と、そこで取り組む研究を写しとっていく。

内田雅己(うちだ・まさき)
内田雅己(うちだ・まさき) 北極観測センター 生物圏研究グループ 准教授
様々な国々が北極での科学研究の拠点としているノルウェー領スバールバル諸島はニーオルスンで、極域における微生物の有機物分解や氷河後退が陸上生態系に与える影響を調べています。

2024年7月25日:ヤナギ

午前中まで天気が悪かったのですが、雲の隙間ができたので、急いで調査地に行きます。ヤナギの葉が色づき始めました。光合成の速度が落ち始めるかもしれません。

2024年7月26日:野生動物

私達が調べている植物は、動物にとっては貴重な食料です。ユキホオジロ、トナカイ、グースなどがすぐ近くまで食べに来ます。もちろん、私達がいなくなると、調査地の植物も食べています。追跡している植物のいくつかは食べられてしまいました。野生動物の邪魔をなるべくしないようにしながら、調査を続けます。

2024年7月27日:スキャナー

植物の葉の面積を調べるために、野外から植物を取ってきて、葉をスキャナーで読み込みます。写真はキョクチヤナギの葉をスキャナーの読み取り部に並べているところです。