南極にカメラを持っていく全てのプレイヤーに向けて。山口真一・第64次南極地域観測隊広報隊員が、極地での写真撮影のコツやエピソードをお伝えします。

私は広報隊員として「観測隊の活躍」を中心に南極での出来事や自然風景を撮影してきました。上の写真(TOPの写真)は、パッダ(リュツォ・ホルム湾の、白瀬氷河の近くにある小さな島)で行われた測地観測に同行し、GNSSの動作確認を行っている様子を撮影したものです。時間は23時頃。白夜なので夜中でも日が沈みません。

観測隊に同行して思ったことは、サンプルの採取やデータの測定など、地道で地味な作業も少なくないという事です。「せっかく南極まで来ているのに、思ったより地味だった」と思われると悔しいので(笑)、「それをやっている場所や状況が凄い」という事を意識していました。写真は、条件が合えば主目的の「何をしているか」と同時に「場所」と「時間」の3つの要素を1枚で表現することができます。今回は主役と背景のバランスを考えて撮った写真を紹介します。

PANSYレーダーの除雪作業。雪の量もすごいですが、エリアが広大で作業の終わりの想像がつきません。

雲粒子ゾンデの放球シーン。暴風圏で行ったため、非常に海が荒れています。この時の撮影は、船酔いでフラフラでした(苦笑)

ルンドボークスヘッタの丸湾大池での観測が終了し、資材を片づけているところ。ここから陸上まで約500メートルの距離を運びます。白夜期間ですが太陽の高さが低いことから、夕方くらいだと伺えます。何となく哀愁を感じませんか?

ルンドボークスヘッタで山に登り、岩石試料を採取している様子。遠くに氷海が見え、結構高いところまで登ってきたことが分かります。

「しらせ」から氷海に降ろされるMONACA。一面の氷海をバックに、氷の下の海中を調べることは一筋縄ではいかないことを想像させます。

<次回は、2024年4月9日に公開予定です。>

山口真一(やまぐち・しんいち)
山口真一(やまぐち・しんいち)

名古屋港ガーデンふ頭に係留している南極観測船「ふじ」の学芸員。2代目南極観測船の展示の企画や資料の保存、来館者のガイドなどに取り組んでいます。第64次南極地域観測隊に広報隊員として参加し、南極観測の公式記録の撮影のほか、ブログや交流サイト(SNS)の記事執筆などに取り組みました。