南極にカメラを持っていく全てのプレイヤーに向けて。山口真一・第64次南極地域観測隊広報隊員が、極地での写真撮影のコツやエピソードをお伝えします。

前回は望遠レンズの圧縮効果を利用した撮影の紹介をしました。今回は広角レンズを使用した写真です。広角レンズは広範囲を写すことができ、遠近感は望遠レンズとは反対で強調されます。遠くのものは小さく写り、近くのものは大きく写るため、接近して撮ると迫力が出ます。
この写真は昭和基地の南方約20キロメートルの位置にあるラングホブデの水くぐり浦でアデリーペンギンの集団営巣地(ルッカリー)を撮影したときで、ペンギンの営巣地の近くには、ペンギンの卵やヒナを捕食するオオトウゾクカモメも営巣しています。(意図的ではないのですが)巣に近づいてしまったため、威嚇で私をめがけて飛んできました。相手は野生動物なので「目を逸らしたら攻撃される」と思い、あえて向かい合ってシャッター押し続けました。最接近したときの距離は1メートルもなかったと思います。正直ものすごく怖かったです(汗)使用レンズは焦点距離14mmの単焦点レンズで、高速連写を使用しています。鳥を撮影すると大抵逆光で暗く写るため、撮影後に写真の仕上として、明るさの補正と画角のトリミングを行っています。

ペンギンの営巣地の上空を飛んでいる様子。撮影は写る範囲が広いので、周囲の地形、集団で暮らすペンギン、オオトウゾクカモメの関係を1枚で納めています。

頭上を通り過ぎる様子。飛んでいる鳥を撮影すると、地上から空を見上げる形で逆光となるため、撮影後に明るさを調整して仕上げます。

広角レンズの作例。広範囲を撮ることができるため、係留系といった大型の観測機器も画角一杯に撮ることができます。

「しらせ」、ゴンドラ、背景の氷海との遠近感を意識しました。

昭和基地を離れる最終便のヘリコプターからの撮影。広角レンズは狭い空間でも広い範囲を画角に収めることができます。

<次回は、2024年6月4日に公開予定です。>

山口真一(やまぐち・しんいち)
山口真一(やまぐち・しんいち)

名古屋港ガーデンふ頭に係留している南極観測船「ふじ」の学芸員。2代目南極観測船の展示の企画や資料の保存、来館者のガイドなどに取り組んでいます。第64次南極地域観測隊に広報隊員として参加し、南極観測の公式記録の撮影のほか、ブログや交流サイト(SNS)の記事執筆などに取り組みました。